就業不能保険って何? 働けなくなったときの保険なら絶対必要?

大きな病気や怪我を原因として働くことができなくなると、多くの方は収入が減って困るはずです。そんな事態に備えられる保険として近年、契約数が増えているのが「就業不能保険」です。

ただ、就業不能保険は給付金を受け取れる条件がやや厳しいので、コストパフォーマンスを考えると契約には慎重になる必要があるでしょう。

そこで、この記事では就業不能保険の基本から確認し、契約すべきなのかどうか、契約するならどんな商品を選ぶべきか解説します。

就業不能保険はどんなときに役立つ?

何となくイメージはつかめていても、どんなときにお金を受け取れるのか正確に理解できていない方のほうが多いのではないでしょうか。まず、就業不能保険の基本的なところから解説しましょう。

就業不能保険は「働けなくなったとき」の保険

就業不能保険とは、被保険者(保険の対象となっている人)が「就業不能」になったときに給付金が支払われる保険です。月に10万円、15万円といった形で契約時に決めた金額を受け取ることができます。

就業不能といっても軽い病気やケガでは給付金の支払対象になりません。身体がマヒして満足に動けなかったり、交通事故で重症を負って普通の生活ができなかったりするような状況とイメージしてください。

ライフネット生命の「働く人への保険2」では、就業不能状態を以下のように説明しています。

病気またはケガにより、医師の医学的見地にもとづく指示を受けて、軽い家事および必要最小限の外出を除き、自宅等で、治療に専念することをいいます。なお、軽労働または座業ができる場合は、在宅療養をしているとはいいません。

この説明を読めば、給付金を受け取れる条件がかなり厳しいということが分かるのではないでしょうか。就業不能状態にあると認定されれば在宅療養でも対象となりますが、就業不能状態でなくなれば給付金が受け取れなくなる商品のほうが多いです。

また、就業不能状態になってもすぐに給付金を受け取れないのが基本です。一般的には就業不能になってから2ヶ月くらい経過してからが支給対象となります。

給付金を受け取れる具体例

ライフネット生命では具体例を公式サイトに掲載しています。その一例を挙げると以下のようなものがあります。

性別・年代傷病名給付金の支払回数
男性・30代多発性脳脊髄腫瘍79
男性・40代筋萎縮性側索硬化症(ALS)61
男性・40代脳梗塞46
男性・40代パーキンソン病41
男性・40代直腸癌22
男性・40代脳炎8
男性・50代解離性大動脈瘤19
女性・50代椎間板ヘルニア10
男性・30代骨折4
男性・30代骨折後変形治癒4
男性・30代ギランバレー症候群14
男性・30代頚椎捻挫6
男性・40代多発性骨髄腫16
女性・30代切迫早産、重症妊娠悪阻1
女性・30代卵巣癌19
女性・30代急性骨髄性白血病12
女性・40代子宮癌25
女性・40代乳がん7

引用元:就業不能状態に該当する具体例を教えてください。|ライフネット生命

引用元のページに掲載されていた例のうち、誰でも名前くらいは聞いたことがあると考えられる病気やケガをピックアップしてみました。これを見ると、就業不能になる原因はさまざまであることが分かります。

具体例を見ると、就業不能状態が決して他人事とは言えないと感じるのではないでしょうか。

うつ病など精神疾患が対象外となる商品に注意

就業不能保険が給付金の支給対象とする就業不能状態は、精神疾患を原因とするものを対象外としている商品が多いです。

うつ病や統合失調症も症状が重いと数ヶ月の入院や在宅療養が必要になることがあります。こうした病気を原因とする就業不能状態を対象としてほしい場合は、そうした商品を選ぶ必要があります。

また、むち打ちや腰痛など医学的他覚所見(医師など他人が客観的に示せる根拠)がない症状が原因の場合も給付金が支払われませんので注意してください。

就業不能保険と所得補償保険の違い

就業不能保険とおおよそ同じ性質の保険に「所得補償保険」というものがあります。両者の違いを挙げると次のとおりです。

  • 就業不能保険は生命保険会社、所得補償保険は損害保険会社の商品
  • 所得補償保険は就業不能と判断されてから給付金が支払われるまでの期間(支払対象外期間)が短い
  • 所得補償保険は保険金の支払期間が短い

いずれも被保険者が就業不能になると給付金(保険金)が支払われる点では同じです。

所得補償保険は支払対象外期間が7日程度と短いのが特徴です。一般的な就業不能保険の支払対象外期間が2ヶ月くらいであることを考えると、すぐにお金を受け取れるのがメリットです。

ただし、就業不能保険は就業不能状態が続く限り、保険期間が終わるまで給付金を受け取れますが、所得補償保険は就業不能状態が続いていても所定の期間(1~3年くらい)で支払いが打ち切られてしまいます。

それぞれにメリットとデメリットがあるので、加入する場合はどちらを選ぶべきかよく考えてください。

就業不能保険は本当に必要?もしくは不要?

会社員や公務員の方であれば、就業不能になっても有給休暇や健康保険の「傷病手当金」を受け取ることができます。

傷病手当金は病気やケガが原因で4日以上、会社を休んで給料を受け取れないとき、健康保険から最長で1年6ヶ月の間、およそ給料の3分の2に相当する金額を受け取れる制度です。

そのため、仮に就業不能状態になってもすぐに収入が途絶えるわけではないので、就業不能保険に加入して備えることが必須とは言えません。給付要件が厳しい割に決して保険料が安いとも言えないので、加入するかどうかはよく考えて決める必要があります。

自営業者であればこうした制度がないので、就業不能になってから短期間で保険金が支払われる所得補償保険で備えることを積極的に検討する価値があるでしょう。

また、所定の状態に該当するとサラリーマンでも自営業者でも「障害年金」を受け取ることができます。就業不能保険に加入するうえではこちらも考慮する必要があります。

就業不能保険・所得補償保険の具体例

就業不能状態の保障を得る場合、単体で加入できる商品を選ぶ方法と、他の商品(収入保障保険など)の特約として加入する方法の2種類があります。以下、単体で加入できる商品を中心に具体例を紹介します。

ライフネット生命「働く人への保険2」

近年、就業不能保険はメジャーな保険となりましたが、そうなる前から積極的に販売していたのがライフネット生命です。

「働く人への保険2」では、支払対象外期間を60日と180日の2通りから選べます。また、就業不能状態になってから540日間、給付金の金額を50%削減することができる「ハーフタイプ」があるのが特徴です。

540日というのは1年半、つまり傷病手当金が支給されなくなるまでの間ということです。サラリーマンにはハーフタイプが合っていると言えるでしょう。

公式サイト:働く人への保険2|ライフネット生命

アフラック生命「給与サポート保険」

アフラック生命の「給与サポート保険」は、「就労困難状態」が60日以上継続すると給付金を受け取ることができます。

給付金には「短期回復支援給付金」(17回目まで)と「長期療養支援給付金」(18回目以降)の2種類があり、短期回復支援給付金については就労困難状態でなくなっても最低6回分、給付金を受け取れます。また、両者の金額を別々に設定できるのが特徴です。

なお、給付金が支給される「就労困難状態」の定義が両者で微妙に違っています。ライフネット生命の商品と比べてやや仕組みが複雑なので、加入を検討するときは必ず代理店で詳しく説明を受けましょう。

公式サイト:給与サポート保険|アフラック生命

SOMPOひまわり生命「じぶんと家族のお守り」(特約)

SOMPOひまわり生命の「じぶんと家族のお守り」は収入保障保険(死亡保険の1つ)です。この保険は特約で就業不能保障をつけることができます。

収入保障保険と就業不能保険は相性が良いです。なぜなら、いずれも被保険者の労働による収入が得られないことに備える保険なので、保険期間を同じにするのが一般的だからです。

「じぶんと家族のお守り」では所定の就労不能状態に該当すると、保険期間が終わるまで給付金を受け取れます。精神疾患は対象外ですが、「メンタル疾患保障付七大疾病保障特約」を付加すれば、所定の「メンタル疾患」に該当して60日以上継続して入院したときに給付金を受け取ることができます。

公式サイト:じぶんと家族のお守り|SOMPOひまわり生命

第一生命「ジャスト」

第一生命「ジャスト」には就業不能保険が用意されています(就業不能保険はジャストのラインナップの1つです)。

ジャストの就業不能保険では、所定の就業不能状態が14日以上継続すると「短期就業不能給付金」、30日以上継続すると「就業不能給付金」を受け取れます。一般的な生命保険会社の商品と比べて支払対象外期間が短いです。

また、精神疾患が対象となっているのも大きな特徴です。ただし、保障範囲が広ければ保険料も高くなるのが一般的なので、加入を検討する場合は他の商品とよく比較することをおすすめします。

公式サイト:ジャスト 就業不能保険|第一生命

損保ジャパン日本興亜「所得補償保険」

損保ジャパン日本興亜の「所得補償保険」は、被保険者が所定の就業不能状態になったときに保険金が支払われます。生命保険会社の商品と違って支払対象外期間を7日に設定できるので、就業不能になってから短期間で保険金を受け取ることができます。

ただし、保険金を受け取れる期間は1年程度と短いです。保険料が被保険者の職業によって違う点にも注意してください。

公式サイト:所得補償保険|損保ジャパン日本興亜

まとめ

大きな病気やケガが原因で働くことが難しくなったとき、就業不能保険が役立つことは間違いありません。

ただ、就業不能状態であると判断される条件が厳しく、特に生命保険会社の商品は保険料が決して安くないというのが正直な実感です。

加入を検討するときは障害年金や傷病手当金などの公的保障を踏まえ、本当に必要かどうかよく考えることをおすすめします。