あなたのお住いが持ち家でも賃貸住宅でも、火災保険への加入は必須と言って差し支えありません。
火災保険は火災のときだけでなく、日常生活におけるさまざまなトラブルで役立ちます。そのため、火災保険について正しく知っていれば安心感が違うはずです。
そこで、この記事では火災保険について知っておくべき知識や保険料を節約する方法について解説します。
知らないとマズい、火災保険が「必須」な理由とは?
火災保険への加入が必須である一番の理由とは、火災によって生じた損害の回復は基本的に自分自身で行う必要があるということです。
自身でうっかり火災を起こしてしまった場合はもちろんですが、近所で起きた火災の被害に巻き込まれた場合(もらい火)でも同じです。
常識で考えれば、他人が原因ならその家の住人に損害賠償を請求できると思うでしょう。しかし、日本では「失火責任法」という法律があり、自身の家は自身で守るということが定められているのです。
そのため、火災保険に加入せず、延焼の被害に遭った場合は自己資金で新たに住宅を建て直すことが必要になります。
第三者による放火や、火災の原因となった者に重過失がある場合はこの限りではありませんが、実際は相手に損害賠償の請求ができないことのほうが多いでしょう。でも、火災保険に加入していればこのような場合でも補償されるので安心です。
ちなみに、2016年12月22日に起きた新潟県糸魚川市の中華料理店から発生した火災では、全焼と判定された120件のうち53件は火災保険に加入していなかったとのことです。
このようなケースでも失火元に重過失があると認定されないと損害賠償請求ができませんので、必ず火災保険には入っておきましょう。
火災保険で補償されるのは火災だけじゃない
火災保険は火災の被害を補償する保険ですが、火災だけでなく、日常生活におけるさまざまな被害の補償も得られます。ここでは火災保険の一般的な補償内容について解説します。
火災・落雷・破裂・爆発
火災・落雷・破裂・爆発の補償は火災保険の基本セットです。
落雷によって家電製品が壊れることは珍しくありませんが、こうしたときも火災保険で補償されます。落雷で家電製品が壊れた場合は保険会社に問い合わせてみましょう。
破裂・爆発による被害が起きるのは、ガス漏れに気付かずコンロに点火した場合などです。ちなみに2017年におけるガス事故の発生件数は457件で、そのうち254件が消費者に原因があるものでした。そのため、決してあり得ないことではないようです。
水災
台風や暴風雨を原因とする洪水、高潮、土砂崩れなどが原因で家屋が流された場合や床上浸水などの被害が水災の補償対象です。
風災・雹(ひょう)災・雪災
強風や大粒の雹、大雪などが原因で生じた被害も火災保険で補償されます。強風により屋根瓦が飛ばされたり、雹が原因で窓ガラスが割れたり、なだれで家屋が倒壊したような場合に補償されます。
水濡れ
水道管や給水管の事故が原因で漏水し、建物や家財が損害を受けたような場合が対象です。台風や豪雨などが原因の場合は水災の補償になります。
盗難
空き巣被害で盗まれたものに加え、侵入の際に壊されたガラスやドアなどの損害が対象になります。火災保険で盗難の補償が得られるのは意外ではないでしょうか。
破損・汚損
子どもが遊んでいて物を壊したり汚してしまったときや、部屋の模様替えのために家具を移動しているときにうっかりぶつけて壊してしまったときなどに補償されます。不測かつ突発的な事故による建物や家財の損害が対象です。
建物外部からの物体の落下・飛来・衝突等
近所の野球場から飛んできたボールが原因で窓ガラスが割れたときや、自動車が突っ込んできて建物が破損したような場合に補償されます。
騒じょう・集団行動等に伴う暴力行為
労働争議などを目的として集まった人が暴力行為を行ったことによって、住宅に損害が生じた場合に補償されます。
火災保険に加入するときに決めること
火災保険に加入するときは決めることがたくさんあります。ここではそれぞれについてどう判断すれば良いか解説します。
建物と家財、何を対象とするか
火災保険は「建物」と「家財」に分けて加入します。そのため、いずれか片方のみで加入することもできますが、基本的には両方を補償の対象とすべきです。
建物とは敷地内にある家屋のほか、門や塀、物置や車庫なども含まれます。ただし、敷地内にあっても庭木や同じ敷地内にある別の建物など補償の対象にならないものもあります。
家財は日用品から家具まで幅広く対象になりますが、現金や切手類、建物の外に持ち出しているもの、業務のために使用する備品、自動車など対象外になるものも多いので注意してください。
また、家財には契約時に「明記物件」として申告しないと補償の対象にならないものがあります。例えば以下のようなものです。
- 1個または1組の価額が30万円を超える貴金属、宝石、美術品など
- 帳簿、証書、設計書、稿本、模型など
- データ、ソフトウェア、プログラムなど
補償内容は商品によって違いがあるので、加入するときに補償の対象となるかどうか気になるものがある場合は必ず代理店や保険会社に確認してください。
補償内容をどうするか
前項で解説した火災保険の補償内容は、商品によって契約者が選べる範囲が違います。古いタイプの商品はパッケージになっていて、不要な補償もついてきてしまうことが多いです。保険料を安くしたければ、なるべく自由に設計できる保険会社を選んでください。
例えばセゾン自動車火災保険の「じぶんでえらべる火災保険」では、火災・落雷・破裂・爆発の補償以外はすべて契約者が自由にセットするかどうかを決めることができます。
各補償の保険料もウェブサイトの見積もり画面から分かるので、保険料を見ながらどの補償を得るべきか検討することができます。
以下は秋田県・2019年築・一戸建て・T構造・建物の保険金額1000万円という条件で見積もりをした結果です。保険料の払方は月払い、年払い、一括払いの3種類があり、月払いは年払いや一括払いより若干、高くなります。
補償内容 | 年間保険料(単位:円) | |||
1年契約 | 1年契約 | 5年契約 | 10年契約 | |
一括払い | 月払い | 年払い | 年払い | |
火災、落雷、破裂・爆発 | 1700 | 1800 | 1500 | 1500 |
水濡れ、物体の落下・飛来・衝突、騒じょう等 | 900 | 960 | 800 | 800 |
風災、雹災、雪災(自己負担額10万円) | 2400 | 2520 | 2100 | 2100 |
水災 | 1600 | 1680 | 1400 | 1400 |
諸費用(臨時費用、失火見舞費用、地震火災費用) | 500 | 480 | 400 | 400 |
盗難 | 100 | 120 | 100 | 100 |
※ 5年の保険料と10年の保険料は全く同じになっていますが、間違いではありません。
※ 自己負担額が設定されている場合、その金額を超えた分だけが保険金として支払われます。自己負担額を高く設定すると保険料も安くなります。
保険期間は最長で10年まで契約できます。途中で解約した場合は未経過期間分の保険料が戻りますので、貯蓄型の生命保険のように、払い込んだ保険料よりも大幅に減ってしまうということはありません。
保険金額はどう決める?
火災保険の保険金額は「時価」と「新価(再調達価額)」のいずれかになります。
と言っても近年は新価で加入するのが一般的です。新価とはその住宅を新しく建て直すのに必要な金額のことなので、万が一、建物が全焼しても費用については心配いりません。
なお、古い契約は時価になっていることが珍しくありません。そのため、もし両親の実家の補償内容が心配なら保険証券を確認してみてください。
地震保険に加入するか
地震保険とは、地震もしくは噴火またはこれらによる津波が原因で、建物や家財が被害に遭ったときに保険金がおりる保険です。
地震保険は火災保険とセットでないと加入できません。そのため、火災保険に加入するときは地震保険を検討するタイミングとして最適です。
地震保険は損害を回復するための保険ではなく、あくまで生活を再建するための保険という位置づけです。そのため、保険金額として設定できるのは火災保険の保険金額の30~50%の範囲となっており、建物は5000万円、家財は1000万円が上限です。
地震保険は保険料が高く、それでいて受け取れる保険金が火災保険より少ないのがネックですが、いずれ起きる可能性の高い大規模な地震に備えることは大事です。なるべく加入する方向で検討しましょう。
特約をどうするか決める
以上のほかにも、契約者の意思で付加できる特約がいろいろと用意されています。ここではそのうち2つを紹介します。
類焼損害特約
自身の家は自身で火災保険に加入して守るのが基本と説明してきましたが、仮に自身の失火で周囲の住宅に延焼被害を与えてしまい、その家が火災保険に入っていなかったとしたらどうでしょうか。
自身の家は保険金で建て直すことができても、そこに住み続けるのが気まずくなるかもしれません。類焼損害特約を付加しておくと万が一、火災保険に加入していない住宅を巻き込んでしまった場合にその住宅の損害を補償してくれます。
地震危険等上乗せ特約
先述のとおり、地震保険の保険金額は最大で建物が5000万円、家財が1000万円となっていますが、地震危険等上乗せ特約を付加すれば火災保険と同額にすることができます。ただし、地震保険に限度額まで加入していることが条件となります。
なお、地震保険や火災保険とは別に単独で加入し、保険金額を上乗せできる商品もあります。一例を挙げれば「SBIいきいき少短の地震の保険」(旧リスタ)です。こうした商品も検討しましょう。
保険会社の選び方
火災保険は住宅を購入した不動産会社や工務店から加入することも多いでしょうが、勧められるがまま加入した場合は余計な補償がついていることも珍しくありません。
火災保険は選び方がそれほど難しくないので、自身で資料を取り寄せて検討したり、ネットから直接加入したりすることも決して不可能ではありません。火災保険の一括見積りサービスもあります。
また、保険ショップは生命保険と損害保険の両方を扱っているところがほとんどなので、そこで契約することもできます。保険ショップは複数の保険会社を扱っているので、各社の商品を比較して一番良い保険を選ぶことも可能です。
なお、保険料に最も影響を与えるのは、何を補償対象にしているか(補償範囲)です。
先に例として示したセゾン自動車火災保険の保険料を見ればわかるとおり、水災や風災・雹災・雪災の保険料は高いので、不要と考えるなら契約しなければ保険料を大きく節約することができます。
そのため、これまで何となく火災保険に加入していたのであれば、一度しっかりと補償の内容を検討してみましょう。
賃貸住宅の火災保険はどうすべき?
賃貸住宅の火災保険は、持ち家の火災保険とはやや違った特徴があります。そのため、賃貸住宅にお住まいなら正しく理解しておいてください。
賃貸住宅の火災保険の補償内容
一般的に、賃貸住宅の火災保険は以下の3点がセットとなっています。
- 家財の火災保険
- 借家人賠償責任保険
- 個人賠償責任保険
賃貸住宅の場合、入居者が加入するのは家財を対象とした火災保険のみで、建物については加入しません。そのため「家財保険」と呼ばれることもあります。
借家人賠償責任保険とは、火災や破裂・爆発などが原因で建物に大きな損害を与えたときに補償されるものです。賃貸住宅の入居者は退去するときに部屋を元通りにして返す義務(原状回復義務)がありますが、それを果たすために役立ちます。
また、個人賠償責任保険は洗濯機の故障などが原因で階下の部屋を水浸しにしたような場合など、他の部屋の住人に損害を与えたときに役立ちます。
保険料が高ければ見直しもできる
賃貸住宅の火災保険は、不動産会社から勧められるものに加入することが多いですが、保険会社を変更することは可能です。
家財の火災保険はあくまで自身の家財の補償にすぎないので、保険金額は自由に決めることができます。家財の保険金額をおさえれば保険料は安くなるので、1年で1万円以上の保険料を支払っている場合は家財の保険金額を減らしたり、他の保険に切り替えたりすることを検討してみましょう。
ただし、借家人賠償責任保険や個人賠償責任保険の保険金額は大家さんの希望する金額で加入することは必要になるでしょう。いくらで契約すべきかについては物件を管理している不動産会社に確認してください。
個人賠償責任保険に加入しよう
火災保険には個人賠償責任保険を特約で付加できることが多いので、持ち家であってもできるだけ付加することをおすすめします。
個人賠償責任保険は住宅にまつわるトラブルだけでなく、住宅の外で他人にケガをさせたり物を壊したりして与えた損害も補償してくれます。
1つの契約があれば家族全員(別居している未婚の子も含む)が対象となり、保険料も安くてコストパフォーマンスに優れた保険なので、必ず加入しておくべきです。
また、個人賠償責任保険は自転車保険の代わりとしても利用できます。
一般的に自転車向け保険として販売されている商品は個人賠償責任保険と傷害保険のセットなので、火災保険の特約で1本加入していれば、新たに自転車保険に加入する必要はないのです。
なお、個人賠償責任保険は自動車保険や傷害保険など他の保険にも付加されていることがあります。重複していても2重、3重に保険金が支払われるわけではありませんので、他に契約しているものがないか確認してから加入しましょう。
まとめ
火災保険はしっかり理解して加入すれば、かなり役立つ保険です。しかし、何となく加入しているだけだといざというときに機能しないかもしれません。
そのため、自身で加入している火災保険の補償内容をよく理解できていないのであれば、まずは現在の契約内容を理解するところから始めてみましょう。
そして、保険会社の変更も含めて見直しをしてみることをおすすめします。